子どもたちの可能性が開くために-2

2007年04月12日

子どもたちの可能性が開くために-2
過信・不信から本当の自信へ


 S子さんは、どちらかと言うと人前で自分のことを話すのが苦手な女の子でした。
 こちらがたずねても、いつも下を向いて顔を上げて人と話をしたり、はっきりと自分の意見を言うのは学校でも少なく、お母さんの話では学校の担任の先生から「クラスの中だと目立たなくなってしまう」と言われるそうです。
 ですから、塾に入った当初は、わからないのかわかっているのかの意思表示がなく、どのように関わっていいのか戸惑った時期もありました。しかし、毎月の目標シートに取り組み、「顔を上げて質問できるようになる」と毎回記入する中で、少しづつ声も大きくなり、顔を上げるように努力している様子でした。
 それと共に家ではいつも算数がわからないとお母さんに教えてもらい、それでも理解できないと泣きだすので、お母さんもどう対応していいのか困っておられました。
 それが、いつのまにかその行為がなくなっていったそうです。そして、春期講習中は、はっきりした声で「先生、何ページの何番がわかりません」と質問をし、塾に入って間もない同じ学年のK子さんがわからないときは教えてあげるようになりました。
 S子さんのシートの感想です。「今回は、計算問題でのミスも少なくなりました。でも国語の漢字があまり書けませんでした。これからは、過信ではなく自信を持って勉強していきたいです」
実は、春期講習中、国語のテストで漢字がほとんど書けていなかったS子さんやK子さんに私はこのような話をしました。
 「勉強においても何においても、わからないことに対して自信を持つことはとても大切だと思う。自信とは自分を信じると書くでしょ。だから心の中で私はきっとできるようになると信じて問題にあきらめずに向かい合ってほしい。でも、これくらいの問題は解ける、大丈夫と思い込むことは過信と言います。また、自分には絶対無理と自分を信じないのは不信になります。どちらも違うと思う。みんなには本当の意味で自信を育ててほしいと思う」と結びました。
 そのことを覚えてくれていて、S子さんは感想を書いてくれたのではと思います。
こちらが子どもだからむつかしいことを言っても理解できないだろうと思い込むのではなく、相手の心に響くように真剣に伝えることで全て分からなくても、心に残るものだとS子さんの感想を読んで思いました。
 たとえ、口には出さなくても子どもたちは心で感じてくれている。このこともやはりシートを作成して、思いを文章にしてもらわないとわからなかったことです。どれだけ一人ひとりの気持ちを引きだすことができるかは日頃からのこちらの心構えが常に問われているのではと責任を感じました。(終わり)
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Posted by kobehiro at 00:00Comments(0)勉強の仕方

子どもたちの可能性が開くために-1

2007年04月09日

子どもたちの可能性が開くために-1

 新学期を目前に控え、塾では春期講習を実施します。当塾では、生徒さんひとり一人に春期講習にどのような願いや志を持って参加するかを初日の日にシートに取り組んでもらい、この期間毎日、勉強の目標を定め、その日には次の日に向けての改善点を記入するようにしてもらいました。そして、講習最終日には、その願いに対しての振り返り、そして自分として良かった点、さらには新学期に向けて改善点を書いてもらいました。中には「えーめんどくさい」とか「何を書いたらいいかわからない」の声も上がります。
でも、これも作文の練習も兼ねて自分が思っていることを言葉に表すトレーニングだと話すようにしています。
 春期講習に参加してくれた新中1になるK子さんは塾に入って2カ月あまりです。最初は算数が大の苦手で、お母さんから塾に入るように勧められても塾は勉強をさせられるこわい所という印象があってどうも塾に拒否反応があったようです。
 そんなK子さんも中学生になるし苦手な算数を何とかしたいとの気持ちもあって「春期講習に向けて少しでも算数がわかるようになりたい」との願いを書いていました。
 塾に入った最初の頃は、少しわからないと「うー」と声を出してパニックになっている様子でした。でも、そのたびに「落ち着いて取り組めば必ずできるようになるから何回も問題を読もう」と励まし、苦手なパターンの問題を1ヵ月近く何度もやってもらいました。
 そのかいあってか春期講習中におこなった算数のテストでは、高得点が取れました。
 そして、春期講習の最終日にK子さんのシートにはこのような感想が書いてありました。
 「以前は、苦手で嫌いだった算数が、そんなに嫌いでなくなってきました。文章題も少しづつわかるようになってきました。中学生になったら今よりむつかしくなると思うけど、今度は英語も頑張っていきたいです」
 お母さんからもお電話で「K子は変わりました。自分で問題に取り組むようになりました」と言ってくださいました。苦手なことでも本人が諦めずにやっていこうと心を定め、続けることで現実は短期間で変わるのだとK子さんの姿をみて思いました。
 では、K子さんと同じ学年でちょうど1年前に入塾したS子さんにはどのような変化があったでしょうか。(続く)  続きを読む

Posted by kobehiro at 01:27Comments(0)勉強の仕方