贈る言葉-4

2007年03月21日

受験という試練が本気の心が開花させる。

 3月20日は公立高校の合格発表の日でした。
 中3のT君は、1カ月間だけ勉強を見てほしいとお母さんから頼まれました。同時に、家では勉強できないというご本人の希望でもありました。当初は受験するつもり高校のレベルがそんなに高くないこともあって何とかなるだろうとの思いがT君にありました。もともとT君はどちらかというと切実感がなくご両親からもしかられた経験がない生徒さんでした。
 しかし、T君が受験する高校は、注目の専門技術が身に付くということもあって、今年はなんと一番倍率が高くなりました。そのような状況下にあっても、T君は宿題をやって来なかったので、度々私も厳しく注意したこともありました。でも、だからといってT君がやる気になったようには見えませんでした。
 私がこのままではどうしようもないと思ったとき、助け舟をだしてくれたのは、塾に通う同じ中学校の卒業生の高1のH君でした。

H君「勉強をしないと高校に合格できない、とT君に言ってもあかんで」
私「えー、じゃあ何も言わないほうがいいの」
H君「そんなんしたらあかんで。いちおうT君は塾に来ることが勉強せんとあかんと思って来てるんだから。先生が面倒みんとあかんで」

 H君とのそんな問答があり、私も今までの関わり方を変えていかなければと思うようになりました。
 幸い、私の塾では、折々に自分で自分の心の傾向を発見するシートに取り組む時間をとっています。今回はT君に同伴してそのシートに取り組んでもらうことにしました。
 シートの質問に取り組んでもらうとT君は、物事に対して後回しにしてその結果どうしようもなくなる現実を作り出していたこと、「まあ、いいか。何とかなる」といつも曖昧にする傾向が強いことがわかってきました。同時に、その心の傾向を詳しく説明しているガイドブックを一緒に読む中で、その一節に「あなたは、いい人だけで頼りにならないと言われたことがあります」という内容がありました。
 その一節を読んだとき、T君は「僕、友達からこう言われたことがあります」と答えてくれました。そして、どのようにその傾向を改善していくかという所でT君は宿題をやってこなかったら自分にペナルティをかける意味で「テレビを3日間見ない」ことを自分から決めてくれました。
 そして最後に「僕は今まで自分が変わらなければいけないと思ったことはなかったけど、今日、初めて変わらなければいけないと思いました」と言ってくれました。
 それからのT君は本当に変わっていきました。
 今までは家で勉強ができないと言っていたのが、1日3時間、時には5時間と家で勉強するようになりました。
 そして、3月20日の合格発表の日、見事、自分が志望した高校に合格することができました。お母さんにお聞きすると同じ中学から10人の生徒さんが受験し、その学校に合格したのはたった4人だけだったそうです。
 T君、本当におめでとう。願いに向かって自分が本気になって取り組めば、必ず道は開けることを今回の受験を通して実感したのではないでしょうか。
私が師事している先生からこのようなことを教えてもらいました。

「桜が咲くにはその花の芽が休眠している時に、冷たい空気にあたって桜の芽が目覚める。だから冬の季節のない国では桜は咲かないのです。桜にとって休眠打破は必要なのです」

 このことばは、桜だけではなく私たちにも必要だと思いました。受験という試練があったからこそT君は自分の内にある本気の心に目覚めたのではないでしょうか。
 これからも、新しい高校生活において是非、自分の心の中にある素敵な花を咲かせてほしいと心から願います。
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Posted by kobehiro at 11:23│Comments(0)人生のこと
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